ウサギだけのお部屋

ママ友がウサギを飼っていたエピソードです。
我が子がまだ1歳だった頃、小児科の待合室で1人のママ友に知り合いました。子供が同じ学年であること、家が近所であることから仲良くなり、ご自宅にお招きいただきました。

ご自宅は2DKのマンションです。キッチンをはさんで家族が日常過ごす部屋が1つ。もう1つが何とウサギ部屋でした。その家族は夫婦と子供が3人。0歳、1歳、2歳の年子です。5人家族が子供のおもちゃが溢れる6畳部屋で食事をし、日中を過ごし、寝ているとのこと。子供が0~2歳なので、それはもう賑やかです。

対して、ウサギ部屋の方はとても静かでした。4.5畳の部屋に大きなゲージが2つ。ベージュ系、グレー系のかわいいウサギが1羽ずつ入っていました。他には何の荷物も家財道具もありません。2DKのうちの貴重な1部屋をウサギだけのために。ウサギが悠々と過ごせるために。正直言って大変驚きましたが、逆にウサギに対する深い愛情を感じました。
何故ウサギだけのために1部屋を丸々使っているのかと聞くと、答えは簡単です。「臭いから」の一言でした。それもあるとは思いますが、ウサギのために、より良い環境をあてがってやっているのでしょう。
ウサギはとてもデリケートでストレスに弱い生き物です。実際に、私が通っていた小学校でもウサギを飼っていましたが、赤ちゃんウサギが産まれたけれども、生徒は決して見に行かないようにとお触れが出ました。理由は親が赤ちゃんを殺してしまうから。ウサギは恐怖を感じやすく、人間が危害を加えないか警戒心を強く持っているのです。
初めて訪問する私をママ友は気軽にウサギ部屋に入れてくれ、かわいい姿を見せてくれました。ウサギも怯える様子はなく、普通にエサをもぐもぐ食べていました。

とても警戒心が強い生き物には見えません。きっと産まれてから数年たっていて、人間や環境に慣れているのでしょう。ウサギのエサはラビットフードやキャベツ、ニンジンなどです。子供たちがエサをやりたがっていましたが、さっきあげたばかりだと止められていました。

そのママ友は現在、引っ越ししてしまい、ご家族もウサギたちもどうしているのか知る由もありません。今思えば、あのマンションはペットを飼ってもいいようには見えなかったです。ウサギと聞くと時々思い出すのです。何もない部屋で鼻をフンフンさせていたあの姿を。