ジジと息子とアレルギー

私の実家には「ジジ」という黒猫がいます。
我が家は代々猫好きな家庭で、私が子どもの頃からずっと猫を飼っていました。

6年前に父が他界してからは、実家は母とジジが住んでいて、母は子どものようにジジを大切していました。
4年前に息子が生まれてからは、母にとって、ジジと私の息子だけが生き甲斐らしく、とても溺愛しています。

そんなある日、とんでもない事件が起きました。
息子に動物の毛アレルギーが出てしまったのです。
日曜日、妻と息子を連れて実家に帰ったのですが、ジジと遊んでいた息子が急に目を擦り、痒がり始めたのです。
もともと喘息と鼻炎のアレルギーがあったのですが、初めての症状で、私たちは慌てて、休日救急センターに連れて行きました。
アレルギー検査ができなかったのですが、先生曰く、「状況から考えて、動物の毛のアレルギーでしょう。明日にでも小児科か耳鼻科で検査して下さい。」
翌日、小児科で検査をすると、やはり動物の毛のアレルギーで、特に汚れた毛に反応するそうです。
私たちは原因が分かり、ホッとしたのですが、母は大変落ち込みました。
かわいい孫にかわいいジジが原因でアレルギーが出てしまったのです。
母はジジと私の息子が遊ぶのを見るのが一番幸せだと言っていました。
もうそれができないのです。

しかし、そこからの母はとても逞しかったのです。
やはり両方とも手放せないと思い、対策を始めました。
それはジジを毎日入浴させることと徹底的な掃除です。
ジジは昔から風呂が嫌いでしたが、母の気持ちが伝わったのか、息子と遊びたかったのか、あまり嫌がることなく、身体を洗われるようになったそうです。
そして、ロボット掃除機を買い、常に床の毛を回収し、遊びに行く前日には大掃除をするようになりました。
おかげで、その後息子のアレルギーが出ることはなく、今も、二人と一匹で仲良く遊んでいます。
いずれはジジも旅立つ日が来るのでしょうが、それまでは心置きなく楽しく過ごして欲しいと思います。